チューリップ


「お待たせいたしました。アイスコーヒーとアイスカフェオレです。


ごゆっくりどうぞ。」



また同じ店員さんが頼んだものを運んでくる。


岩城先生は目の前に置かれたアイスコーヒーに目も向けない。
私もドクドクと早く波打つ心臓を落ち着かせながら、岩城先生の言葉を待つ。




「先ほど、理事長に教頭と3年6組の副担任という職を取り消してもらうよう、お願いしてきました。」



…………え?……

取り消し…?



「さすがに私がこんなに近くにいるなんて、隆太にもキツいでしょうし…。私も、正直隆太とも生徒達ともうまく接することができるか…自信がないので…」



思いがけない言葉に

言葉が詰まった。



「申し訳ありません、いろいろお手数をおかけしてしまって。」



私が聞きたいのはそんな言葉じゃない。



何で私に頭を下げてるの?




何でリュウとちゃんと向き合おうとしないの?
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