チューリップ



「それでいいんですか?」



「…え?」


私の言葉に岩城先生は顔を上げて私を見る。



「隆太君、リュウから目をそらして逃げるだけでいいんですか?


いつまで、そうしてるおつもりですか?」



気付ば口から次々に言葉がでていた。


目を丸くしている岩城先生に私は浮かんでくる感情を次から次へと言葉にした。



「だいたいのことは、リュウや私の生徒のリュウのお友達から聞きました。


大好きだったお母様が亡くなったこと、あなたから受けた傷のこと、それから心を閉ざすようになってしまったこと。



今はいろんな人の協力を得て、人を、自分を信頼できるようになりました。





でもそれは、決して楽な道でなかったんです。




苦しんで、たくさん立ち止まって、それでもリュウは逃げなかった。




自分の傷から
過去から


あなたからも。」
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