チューリップ




『汚ねぇけど上がって。』

『うん。お邪魔します。』


由香里さんを失って、リュウは変わった。


そんな経験のない俺にも大切な人を失えば、悲しみに襲われるし、無気力にもなるだろうし、変わってしまうこともあることくらいなんとなくわかってる。



でも、猛烈に不安になった。


リュウが崩れていくような気がして…。




だから今日は、久々にリュウと話そうと思って来た。俺に何かできるとは思ってないけど、ほっとけなかった。




『でかー。何度見てもすごいよ。』

『別に普通だろ。』


一見普通に見える。
普通に話せてるようだ。


でも明らかに、いつものリュウではない。



前に何回か来たときより、少し散らかっている1階の部屋を通ってリュウの部屋へ行こうとした
そのときだった−



『ガチャッ』




リビングに、玄関の扉が開く音が響いた






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