チューリップ
俺の前を歩いていたリュウの足が止まる。リュウはゆっくり振り返って、玄関からつながっているリビングの扉に目を向けている。



『隆太…』


扉から入ってきたのはリュウのお父さんだろう。

何回もこの家に来てるけど、会ったのは初めて。確か、教育委員会に入ってるとかで家にはほとんどいないらしい。




こんなときまで、何してんの?


俺は率直にそう思った。



リュウは由香里さんの死について何も聞かされてないみたいで、困惑していたから。




リュウの父は平然とキッチンへ行ってお茶をグラスに注いだ。





『おい、ふざけてんじゃねぇ。』
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