チューリップ
「……………リュウ」
一面に広がっている緑の上に寝転がっているリュウに呼びかける。
ここは俺たちの中学の近くにある広場。
リュウはサッカーの自主練をするときも、何かに悩んでいるとき、落ち込んだときはよくここに来てた。
「…リュウ。」
今ここにあるのは真っ青な空と眩しすぎる日、ガサガサと風でこすれる葉の音だけ。
ここには…俺たちが失ったものがある気がした。
昔と変わらない草のにおいと風景は俺を、きっとリュウもを、安心させる。
そして、無くしたものを
思い出させるんだ。
「……………俺さ…あいつと、も1回話してみるわ。」
「うん。」
「陽介…」
「ん?」
「ありがとな。」
「…うん。」
.