チューリップ
リュウの言葉に続いたのは長い沈黙。



私は不安と期待を抱きながら願った。




この2人が、

どうかしまっていた想いを
伝えることができますように…







「……………ありがとう。隆太。

ごめんな。」



長い静寂を切った岩城先生の声は震えていて、見ていなくても涙ぐんでいることがわかった。





「あの日、お前に包丁を投げたとき


あの時のことはいつでも忘れられなかった。
今でも鮮明に覚えてる。




父親失格だ…。
お前に恨まれても仕方がないと思う。





ただ今更でも

お前に聞いて欲しいことがあるんだ。





由香里は

本当は…」





「自殺をしたんじゃない

だろ?」







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