チューリップ




時間が止まったような感じがした。




「…………隆太……。

知ってたのか…?」




何で……?
リュウは知らないはずじゃ…?



「あんたが出てってしばらくして、病院から電話があったんだ。渡したいものがあるって。


信じられなかった。母さんが、心臓病だったなんて…。



でもそれを知って、母さんが真っ当に生きたこと、あんたが母さんと俺を考えてたこと、……あんたのしたことの理由


すべてに気づいた。」




嘘…。

リュウが知ってたなんて…。



きっと岩城先生も困惑してる…。
リュウの言葉に返事をしなかった。いや、できなかったんだと思う。






じゃあ
何で2人は2年間もすれ違ったままだったの?




私の疑問に答えるようにリュウがまた口を開く。





「あん時、俺は確かにあんたを憎んでたけど、すべてを知ってその矛先が変わったんだ。

俺はあんたを許せなかったんじゃない。


もちろん母さんでもない。




俺は俺を許せなかった。



何も知らず、あんたと母さんに守られてた俺が、ただ情けなくて憎かったんだ。」




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