チューリップ





「………お前が謝る必要なんかないだろう…。



俺がお前を傷つけた…。
一生消えない傷を付けたんだ…。



本当に悪かった。」



しばらくして聞こえる岩城先生の声。



もう、謝罪なんてリュウには必要ないよ。


ねぇ?リュウ?



「あーーーー!!!もう!!

謝んなって!!



でもようやく、ちゃんと今を生きれる気がする。」




リュウ、すごいよ。
あなたはすべてを1人で乗り越えたんだね。

本当に、よかった…




「梨華。
いるのはバレてっから。

陽介も。」



へ…?


「あらら、やっぱり?」

そう言って塀から顔を出す陽介君。

「やっぱりじゃねぇだろ。わざと気づかせたくせに。


てか梨華いつまで隠れてんだよ。」


私もゆっくりリュウたちに顔を見せる。




「ありがとな。梨華。」



涙でリュウの笑顔がぼやけちゃう。
けど、その笑顔が今までの何倍も綺麗だった。




リュウにはたった一言で

こんなにも心を暖めさせられる。






リュウ、ありがとう。


私はやっぱりあなたが恋しくてたまらないみたい。






.
< 199 / 265 >

この作品をシェア

pagetop