チューリップ



それから岩城先生はリュウに今までの思いを伝えた。



ナイフを投げて、リュウから逃げたのは
リュウが自分を恨んでくれれば、由香里さんを恨むようなことはないと思ったから。


家に帰らなかったのは、リュウの傷を広げてしまうと思ったから。


名前まで旧姓に変えて教師に戻ったのは、もう一度父親としてやり直したかったから。



全部リュウへの思いからだったんだ。








「っていつまで泣いてんだよ!?」


「だっで…うれじぐて…」



ただいまリュウの家で茉莉、陽介君とプチパーティー中。

もちろん、リュウと岩城先生の仲直りパーティー。



「梨華ちゃんはずっと心配してたもんねー。」

「愛されてるねーリュウ!!」

「だーわかったから!!感謝してるって何回言えばいんだよ!?」


学校帰り、そしてリュウの家に到着してからも泣き続けてる私に、リュウは何度も優しい言葉をかけてくれた。



ありがとう。
梨華は俺の一番大切な人だから。




それが逆効果だってことがわかってないみたい。



そんな優しい言葉をくれたら、涙が止まらないに決まってるじゃない。
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