チューリップ
梨華の口から発された言葉が胸に突き刺さる。
何を言われているのか一瞬わからないほど、頭は困惑していた。
何言ってんだよ…
もう、終わりにする?
それが別れを告げたい奴の顔かよ。
泣きそうな顔して
んなバカなこと言ってんじゃねぇよ
「それ、本気で言ってんの?」
「本気だよ。」
声が震えてんだよ。
「違うんだろ?」
「違くないよ。」
「嘘ついてんじゃねぇよ。」
「嘘なんかじゃない!!!!」
突然浴びせられた声に俺は目を見開く。
「ごめんね、でももう終わりにするの。
それぞれ別の道を行くべきだよ。
私がそうするべきだと思ったの。」
そう言って向きを変えて歩き出した梨華を
俺はぼやけていく視界から消えるまで見続けた。
俺の目から流れるこの滴は
梨華のもののような気がしてならなかった。
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