チューリップ
愛すための覚悟 〜リュウ〜
こうして俺は
梨華のいち生徒に戻ったんだ。
「この仮定法の使い方は難しいから皆しっかり覚えておいてね。……」
いつもと変わらない梨華の英語の授業。
ただ俺の心だけは、つい1週間前から激変していた。
「……う…リュウ?」
ぼーっとしていたのか、目の前には教科書片手に立っている梨華。
「今もう問2の(3)だよ?
集中しなきゃ!」
「…はい。」
別れを告げられたあの日から梨華の俺への態度は全くというほど変わっていない。
教師と生徒という関係においては…
でもむしろそれが、
完全に梨華の中での俺の存在が消え失せたように思えた。