チューリップ



「おはよリュウ!!」


次の日、朝教室には入るなりうるさい声を浴びせられた。

隼…。朝からうるせ…。



「今うるせぇって思っただろ!?」


「…わかってんなら黙れよ…」




「あれ?我が儘王子はご機嫌斜めなの?」

「あ陽介!はよ!」




俺のすぐあとに来た陽介が後ろに立ってる。


何だ我が儘王子って…。



「何度かけても音信不通、人が心配してんのにただ欲しいもののためにまっしぐら。

かと思ったら急に紳士になってるし。」


昨日、梨華を教室で待っている間ケータイの充電が無くなって全く陽介たちの連絡に気づかなかった。


家帰ったら門の前で待ってるから焦ったんだ。



まぁ、確かに我が儘か…。



欲しいものを、無理矢理手にしようとしてんだかんな。




「あのー…話が見えないんですが…」

「おまえには一生見えねぇよ。」

「はいっ!?酷くね!?」



そんな話をしてるうちに、いつの間にか朝のHRの時間が来ていたらしい。


前の教室の扉からいつものように梨華が入ってきた。









「梨華!?」

「何があったの!?」

「どしたの!?」



クラス中にどよめきが走った。



………んだよそれ……。
なんなんだよ!?





「その傷!!大丈夫なの!?」




教室に現れた梨華の体は


明らかに何かに傷つけられていた。
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