チューリップ


目の上にある赤紫の痣

唇は端が切れて腫れている

腕には包帯が巻いてある



ズボンや服でわかんねぇけど、この様子じゃあきっと全身傷だらけだ。



どういうことだよ…

なんでまた
梨華が傷を負ってんだよ…?




「いやー、朝階段から落ちて転んじゃって…。
皆心配させてごめんね!」


梨華は笑顔を見せて謝ってる。



「梨華が大丈夫ならいんだけどさ…」

「めっちゃ痛そうー…。」


「これくらい大丈夫だよ!ありがとう!」




階段から落ちた…?

そんなんじゃその傷は出来ねぇよ。


それは、どうみても誰かにやられて作られたもんじゃねぇか…。




「ねぇ、この傷…」

「あぁ、誰かがあいつを…。」

「もしかして、昨日言ってた奴なんじゃ…」



耳にささやかれる陽介の言葉に頭は割れるように疼き出した。


俺の頭には昨日窓から見えた光景がフラッシュバックした。



あの…梨華の隣にいた奴

いやあいつかはわかんねぇけど、


俺の知らないところで梨華があの痛々しい傷をつけられたのは確かだ。
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