チューリップ






「……怖かった…。
バレることなんて想定できたはずなのに、
皆を失うかもしれないと思うと

怖くて…。」



今にも壊れてしまいそうな、でもしっかりと俺に届けようとしてる梨華の声を俺は必死に聞いた。




「この前、そんな秘密があったんだって書かれた紙が職員室の机に入ってて、


その日の放課後にバラされたくなければ
リュウや…皆と…」



梨華の声は涙で消えていった。






やっぱり、梨華は脅されていたんだ


すべてを知った最低で卑劣な奴に…。




俺たちと離れる…
これは梨華を自分のものにしたいからだろ?




「その傷もそいつが?」


梨華の頬に触れながらいつもより穏やかな声で聞く。


梨華は小さく頷いた。





何で

また梨華が傷つかなきゃいけないんだよ…。

おかしいだろ…





誰にも梨華を壊すことはさせない。





「誰?」







「…………

木津先生…数学科の…」






木津…?




最っ悪な教師…







教師となりゃ

つぶすのは簡単だな






俺らの前から



永遠に消してやる。






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