チューリップ
「わぁーーー!!
きれい!!」
「すげぇなぁー…。」
お店の外に出ると、世界は赤く染まっていた。
赤く輝く太陽は、可憐で美しいけど
どこか寂しく感じるのは
どうして?
「次、どっか行きたいとこある?」
「んーと…」
次、行きたい場所…
ふと見上げた赤く照らされているリュウの顔は、残された時間の少なさを私に突きつける。
ほんとはね私は、もうどこにも行きたくない。
どこにも行かないで、
リュウとただ共に過ごしたいの。
あと少しで解ける魔法を、永遠に繋ぎたいだけ。
言葉に詰まる私にリュウはとびきり優しい笑顔を向けるんだ。
「行こう、梨華。」
「うん。」
行き先はわからないまま、
私はリュウの手を必死につかんだ。
1番失いたくない、この手から離れないように。