チューリップ




金木犀の強い香りに酔いしれながら、リュウの言葉を聞いていた。






3年前、私達は同じや闇中にいた。



大切な人を失って


いろんな人間に裏切られて


勝手に自分の殻にこもって



抜け出せない大きな闇で

必死に戦っていた。





そんな私達にとって
こんな世界があると知れるのは

些細な救いなの。




まだ知らない世界があるのなら


その世界を信じられる。



自分たちの世界に絶望した人間にとって



ほかの世界を見せられることは




唯一の希望だから。
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