チューリップ
リュウはゆっくり振り返ってから微笑んだ。
ここに連れてきてくれて
だと思ったかな…?
でも、
なんとなくリュウにはすべてが伝わっている気がするんだ。
「梨華、ちょっと目つぶってて。」
リュウに言われて、疑問に思いながらも素直に従った。
…え………?
「……わ!!」
暖かいものが体に触れたと思ったら
体、宙に浮いてる!?
これはもしや…お姫様だっこというもの…?
「ちょっと我慢してて?」
すぐ上から聞こえてきたリュウの声に心臓は大きく波打つ。
重くないかな…?
どうするつもりなんだろう?
ドキドキしながらも、やっぱり心は穏やかだった。
少しして、体がまた縦に戻って足が地に着いた。
「目、開けてごらん?」
ほら、まただよ…。
リュウはいつだって
あたしに幸せを与えてくれるんだ。
これじゃあまるで
花畑のお姫様だよ。