チューリップ




目を開けると、私は一面お花に囲まれていた。



丘の上にいるようで辺りに広がる花畑がすべて見渡せる。





まるでここは



王子様がお姫様に用意した
特等席。






「実はここの花畑、親父の知り合いの人の土地でさ、趣味でこの場所作ったらしいんだ。


あの日も結局、その人に金借りて帰ったんだけど…。




こんな場所、見つけられてすげぇ感動したのに


そん時、世界の狭さにすごい幻滅したんだ。」





広い花畑の真ん中で、私達2人だけが月に照らされている。


まるでこの世界には私達しかいないような気がした。





「でも…今、こうして梨華とここに来てる。




逃げ出したくなっても、逃げ出したと思えても、その世界から出てはなくて


すべてが確かな現実で、

俺たちの世界だって




梨華と出会えた今なら思う。」






そう




私達はどこにいたって繋がってる





まだ出会っていなかったときから


たとえ離れていても


私達は同じ世界を生きていた






そしてこれからも


同じ世界を一緒に



歩み続けるんだよ








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