チューリップ
何の音もない教室内は梨華がいなくなったという現実を俺たちに痛感させる。
梨華はいなくなった…?
いや、それは違うか…。
梨華は俺たちのために
また1歩を踏み出しただけだ。
俺たちのいるこの世界の
新しい場所へ。
理事長に視線をまた合わせると、理事長にさっきまで動揺は見られなかった。
理事長もわかってるはずだ。
俺が言ったことは
今の俺たちにとってはちっぽけなことだ。
そんなものよりもっと大切なものを
俺たちはあいつからもらったんだから。