チューリップ
「…でも……、なんで嘘までついて…?」
隼の声は震えていた。
隼は梨華のことを誰よりも早く信頼した。あいつは誰よりも早く梨華は違うと気づいて、心を打ち開けていた。
それだけに、誰よりも俺が述べた事実に困惑しているようだ。
「あいつは、俺たちにどうしても伝えたかったんだ。
人を信じること、
自分を信じること、
未来を信じることを…。」
俺達はあいつに出会って変わった。
この世界が価値のあるものだと
初めて感じられた。
誰かに想われていることの幸せを
再び感じることができた。
梨華の想いはいつだって俺達に向けられていたんだ。
「私たちの担任は
もう梨華しかいないよ。」
菜々子の微笑みがあいつの笑顔を思い出させる。
「私は梨華に救われた。
梨華は汚くて…醜かった私も信じてくれたから
私も梨華を信じる。」
梨華を信じる
その言葉は教室の誰にもの心に届いた。