チューリップ
「びっくりしたよ。ドア開けたらずぶぬれのリュウが立ってるなんて。」
陽介は俺にタオルと着替えの服を差し出しながら言った。
あきれたように苦笑いをしてる。
「悪い。」
俺もなんでここに来たのか自分でもわかんねぇ。いつの間にか陽介の家に足が向かってた。
陽介の家には昔からよく来ていたし、なんとなく安心する。
俺は陽介に渡された服に着替えるために、いつものように部屋に入った。
部屋には飲みかけのお茶が2つあって、そして俺らの写真がいつもとは違う場所においてある。
この光景を見た瞬間、真っ先にある考えが思い浮かんだ。
「梨華が来てたのか?」
予想は的中した。
「うん。あの後教室で倒れちゃったんだよ。まぁ大丈夫そうだったけど。」
やっぱり…。しかも写真たてが動いてるってことは梨華があの写真を見たのか。
俺がまだ堕ちる前の時の写真。
陽介もしかして…
「あのこと話したのか?」