チューリップ









「…お待ちしてましたよ。」






理事長室へ入って向けられた理事長の微笑みは、すごく穏やかなものだった。



私の新たな人生は
ここから始まったんだ。




「理事長…、

本当に…」
「ありがとうございました。」





私は下げかけていた顔を勢いよく上げた。



私が言おうとしていた言葉は、理事長の口から発された。




「私は、あなたのためにこの学校へ呼んだんじゃないわ。


生徒達の未来のために
あなたに来ていただいたの。



感謝するのはあなたではなく、私なのよ?」






それでも…



それでも…私は救われたんです。


彼らに出会って、私の人生が救われたから…





「ありがとうございます。」




感謝させてください。



そして理事長、私は

これからもあなたに胸を張れるように生きていきます。
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