チューリップ



「おはよう!!」



数分後、突然教室の扉が開く音と梨華の声が教室に響いた。




クラスの奴らは梨華の姿を見て、席につき始めた。





どうやら梨華はいつもとは違う奴と感じてるのは俺だけじゃないようだ。



今までだったら担任が入ってきてもスルー。
まぁあっちも何も言わなかったけど。








「では、出席をとります!

青木遊君!」



梨華は元気な声で生徒の名前を呼び始めた。
ふつう、出席確認は1人1人確認なんかしない。教師にとっちゃ俺らが来てるか来てねぇかなんてどうでもいいんだ。








でも、当然のように明るく名前を呼ばれて無視する奴はいなかった。





「飯田貴久くん!」


「…はい。」



「榎木隼くん!」


「はい!」



「岡本陽介くん!」


「はーい!」




梨華は名前を呼ぶのと同時に生徒の顔を見ていた。陽介を見て、少し微笑んでるのがわかった。





「川崎隆太くん!」






「…………………はい。」







一斉にクラスの奴が俺を見た。
まぁいつもなら絶対返事なんかしないだろう。




陽介は隣でにたにたと笑っている。






梨華を見ると、梨華も笑っていた。








俺までつられて笑いそうになるほど、優しい笑顔だった。
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