チューリップ

(叩いた?)







予想外のことを言われて俺の頭には疑問が浮かぶ。





「やっぱりリュウが言ったことは間違ってると思うけど、あんなに強く叩くなんて、本当にごめんなさい。




教師失格だよね。」




梨華は下げていた頭を上げてうつむきながらそう言った。






(そう言えば、俺叩かれたっけ…。)



その後の梨華の涙が印象的すぎて忘れてた。


でもまさかそんなことを謝られるとは…






「別に、んなこといちいち気にしてねぇよ。




お前も気にすんな。」





梨華はゆっくり顔を上げた。




梨華は俺をしばらく見た後、微笑んだ。
そして小さな声でつぶやいた。




「ありがと。」











少し眉をしかめて笑う梨華は



子供っぽくて


照れくさそうで






見とれるほど純粋で










とても愛おしくなった。
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