チューリップ
私の叫び声で周りのお客さんが一斉に私たちを見た。


「すいません…。」


小声で謝る私を見て茉莉は爆笑している。








(茉莉が陽介君を好き!?)



そんな風に思ってるなんて全然知らなかった。





「茉莉、陽介君が好きだったの!?




何で早く言ってくれなかったの!?もちろん協力するよ!」



私がそう言うと、茉莉は微笑んだ。

その顔はまるで少女みたいで、年上だけど愛らしかった。




「ありがと!




ちなみに、私も協力するからさ!頑張りなよ梨華!」



茉莉はにたにたしながら私を見てる。



協力?


茉莉の言っている意味がわからなくて、必死に考えていると茉莉が先に話し出した。




「梨華は鈍感だねー。




川崎君のこと気になってるくせにー!」





「なっ!!



リュウは違うよー!!!!」







またまた周りの人から痛い視線を受ける私を、茉莉は「かわいー!」とお腹を抱えて笑っている。




「ムキになって否定するのは合ってる証拠!



かっこいいじゃん!川崎君!






それに、梨華が来てから川崎君明るくなった気がするよ。」





確かに、リュウはなんか気にかかってしまう。




今何考えてんのかなぁとか、笑ってくれないかなぁとか…。








でもそれはやっぱり、自分と似ているからだとしか思えない。





リュウが私と同じ境遇にいたから…。
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