チューリップ
茉莉が指さした先には
リュウと陽介君がいた。
茉莉が大きな声でああ言ったせいか、2人も私たちに気づいて、陽介君は手を振ってくれている。
リュウはびっくりしているようで、ただ私たちを見ていた。
「そこの2人!!
こんな遅くまで何やってるのかなー!?」
茉莉は楽しそうにそう言いながら小走りで2人に近づいて行った。
陽介君に会えたのが嬉しいのか、はしゃぐ茉莉が可愛くて、私は笑いながら茉莉の後を追った。
「2人こそ、女の子がこんな時間まで危ないじゃん。
それにしてもすごい偶然だね。俺たちは久々にゲーセン行ってたんだよー。」
陽介君が笑って答えた。
「ゲーセンなんて危ないじゃない!
罰として、私たち2人を家まで送りなさい!」
茉莉は当然のように言い放った。
「はっ!?」「えー!?」
私とリュウがびっくりしている横で、陽介君は慣れているのか苦笑いして「はいはい。」とうなずいていた。
「2人に送ってもらうなんて悪いよ!」
私が慌ててそう言うと茉莉が私を横目でにらんだ。
本気で怒ってないことくらいはわかっているけど、茉莉の覇気が伝わってきて背筋が寒くなった。
(ここは送ってもらわないと、私の身が危ないかも…)
私は本能的に察知した。