チューリップ
「じゃあな、梨華。
また明日。」
リュウは私に背を向けて歩き始めた。
待って!
呼び止めたかったけど、私にはできなかった。
どんどん遠くなるリュウを見て、手を伸ばしてしまう。
階段へ続く角を曲がって、リュウが見えなくなった。
勝手に動きそうになる足を必死に止めて、しばらく私は部屋の前に立ち尽くした。
私はリュウをただの1人の生徒として見てる?
特別に感じてしまうのは、似た過去を持っているから?
わかりかけている答えに、私は涙が流れた。