チューリップ
−翌日
「昨日、ちゃんと梨華ちゃん送ってあげた?」
朝教室についた途端、聞こえてきた声。
振り返れば陽介が教室の入り口に立っていた。
なんとなく顔がにやけて見えるのは俺の気のせいか?
「あぁ。当たり前だろ。」
「それで?」
「は?」
「だから、それでどうなった?」
俺の頭に昨日の光景が浮かぶ。
なんでか梨華のマンションについたとき、梨華ともう会えない気がして、気づいたら抱きしめてた。
梨華の細い体が俺の腕の中にあった。
「別に何もねぇよ。」
陽介に言ったら質問責めに会うのが目に見えているから俺は陽介をシカトして自分の席へ向かった。
「ふーん。つまんない。」
その言葉も無視して俺は1限の準備をする。
今日の1限は梨華の英語。だから余計に気合いが入る。
「おはよー!」
「えっ?」
HRをやるために教室に入ってきたのは、梨華ではなく及川だった。