チューリップ
それから出席していた6組の10人で校内を探すことにした。
この学校は西館、東館、南館、本館に分かれている。
ずっと3年間まともに学校に来ていなかった俺は、6組がある本館の構造しか知らないから、俺と陽介と及川で本館を探すことになった。
「梨華、どこに行っちゃったんだろう…」
及川は今にも泣きそうな顔で、空き教室を調べている。
「茉莉、もう話そうよ。」
陽介にそう言われた及川は驚きながらゆっくりうなずいている。
話す?
2人は何か知ってんのか?
「実はね、梨華ずっと嫌がらせを受けてたんだ。
1週間前くらいからみたいなんだけど、隠し撮りされたり、机荒らされたり。
昨日2人でファミレスにいたのもそのことで相談を受けてたの。
もしかしたらこれも、同じ犯人かもしれない…」
梨華が嫌がらせを受けてた?
嘘だろ?
俺はあんなに梨華を見ていたのに、何で気づかなねぇんだよ。
『バン!!!』
俺がドアをたたいた音が、空き教室に響いた。