チューリップ




「美山先生はいじめに耐えられなくなり、やめてほしいと、クラス全員に訴えかけました。





それが彼らの引き金を引いてしまったんです。




体育倉庫に呼び出され、全治2ヶ月の怪我を負うほどの暴力を受け、そのまま放置されたんです。



翌朝、体育の準備をしようとした先生に発見され、病院に運ばれました。





まだその傷跡は体にたくさん残ってますし、心の傷は閉所恐怖症という形で未だ彼女を苦しめているんです。」





「そ…んな……。」




俺ら3人は呆然と立ち尽くした。


かろうじて声を出した及川も足の力が抜けたのか、陽介に支えられて立っている。







俺の脳裏に浮かんできたのは昨日の夜の光景。





「若い人がエレベーターなんか使うんじゃない!

階段階段♪」



もしかしてあれは



閉所恐怖症だからエレベーターは使えない



ってことか…?









「体育倉庫…。」


「え?」



及川を支えたまま陽介が視線を俺に移した。



「体育倉庫見に行ったか…?」





その場に沈黙が流れる。



そして2人がゆっくり首を振った。








まさか…


まさかな。






俺は全力で走り出した。






梨華!!!!
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