チューリップ
茉莉は相変わらず信じられないというような顔で俺を見ている。




でもその顔に確かに驚きはあるけど、動揺は感じられない。


きっと茉莉も気づいていたんだろう。



俺が感じた違和感に。






「これではっきりしました。梨華ちゃんがここで働けているわけが。





理事長は梨華ちゃんが18才だと知っていながら雇ったんですね?




そして、梨華ちゃんとなんらかの関係があるんじゃないですか?」





俺が問いかけた後、重い沈黙が続いた。




きっとほかの教室ではいつも変わらない、普通の時間が流れているのに、この部屋だけは張りつめた空気が漂う。












やがて理事長は視線を床に落とし、ふぅと息を吐いた。







「すべてを


お話しましょう…」
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