チューリップ
「ねぇリュウ?」
「何?」
「球技大会が終わったらね、聞いてほしいことがあるの。」
私の突然の真剣な話に、先を歩いていたリュウは歩みを止め振り返る。
「今じゃなくていいのか?」
「うん。
明日の放課後、聞いてくれる?」
「……わかった。」
リュウはあまり驚く様子もなく、了解してくれた。
それから私たちは手をつないで歩いた。
私から手を差し出したら、リュウは優しく握って照れたように何も話さず、一緒に歩いてくれた。
この暖かい手をもう手放さなくちゃいけなくなるかもしれないから。
もしかしたら、リュウもわかっていたのかな?
これから
この温もりを感じられなくなることを……。