チューリップ
俺らのサッカーの初戦は梨華とクラスの奴らの応援を受けながら始まった。
球技大会は特別ルールで前半後半20分ずつの40分間の試合だった。
普通よりはずっと短いものの、サッカーからずっと離れていた俺にはその時間さえもキツくて、改めてこの2年間の大きさが身にしみた。
それでもやっぱりサッカーは楽しくて、今やれていることに改めて感激もした。
時折梨華の方を見ると、楽しそうに俺たちのことを見ていた。
その結果か、俺たちは1対0で初戦を、その次の試合も3対2で勝ち進んだ。
「リュウ!陽介君!すごいすごい!!!
大勝利だー!!」
今は梨華と陽介と、なぜか及川も、4人で屋上で決勝に向けて休憩している。
梨華が嬉しそうに空に向かって叫んだ。
空はまだ雲ひとつない快晴で、屋上にいるとまるで空の中にいるような感覚になった。
「かなり接戦だけどな。
決勝かー…」
俺は、寝転がり始めた梨華の隣に座った。
突然、なぜか目を閉じて寝転がる梨華を見て、いきなり胸が締め付けられる。
まるでもう目を開けないような
このまま空に吸い込まれてしまうような
そんな感覚におそわれた。
梨華…?
お前はずっと俺の近くにいるよな?
離れないでくれよ?
お願いだからさ…