チューリップ
「りーか!寝ころんでたら寝ちゃうよー!」
「大丈夫だよー!」
梨華は目を開け体を起こした。
笑って及川と話している。
何でこんな不安になってんだ俺?
梨華がいなくなるなんてありえねぇのに…
気づけば、俺の右手首と梨華の左手首に着いてるリストバンドが触れていた。
それを見て安心している俺はだいぶおかしいかも…
「また1歩、進んでる。」
いつの間にか左隣には陽介がいた。
「何が?」
「恋心。」
「は!?」
「図星♪」
こいつは人で遊ぶことしか脳がねぇのか…
「さてと!
自分のクラスの様子でも見に行きますか!!」
「あ、じゃあ私も職員室に戻ろっかな。」
梨華と及川はそう言って立ち上がるとまた後でねと手を振って屋上を出て行った。
あのときの梨華の後ろ姿を俺は忘れることはないだろう。
この後、俺は2人を見送ったことをどれほど後悔しただろう。