チューリップ
「ねぇ、ほんとにそうやっていつまでも目を背けるつもりなの?」
突然真顔になったと思ったら、陽介はぼそっとそう呟いた。
「背けてなんかねぇよ。」
「そんなわけない。だって絶対にリュウは…」
「梨華が好きだけど?」
「!?」
陽介は俺の言葉に目を丸くしている。
「何だ。自覚してるのか。
だったら」
「別に言うつもりはねぇけど。」
俺がそう言い放つと陽介が大きなため息をついた。
「何で?」
「普通に無理だろ…」
「どうして?」
「どうしてって…一応梨華は教師だし、って別にお前には関係ねぇから!」
説明すんのがなんとなく恥ずかしくなって、俺は立ち上がって屋上の扉へ向かった。
「チューリップ…」
「は?」
チューリップ…?
「梨華ちゃんが好きな花。花壇に植えてあるんだ。」
突然何言ってんだ?
「その花言葉…わかる?」
「知らねぇよ。」
「それは…
望みのない恋。」
望みのない……
恋?