ピュア恋、始めました。
沈黙が走る。
そこで、私の手はまだ黒木くんの手と繋がれていたことに気がついた。
「はっ!!!ごめん!」
あわてて手を振りほどいた。
「…いや、俺が勝手に白崎の手を取ったから。俺の方がごめん。」
ふるふると首を横に振って精一杯『大丈夫』を伝える。
すると黒木くんは、ほっとしたような顔を見せた。
「家どこだっけ?」
とりあえず歩きながら駅へと向かう。
「私は高校の近くだよ!」
「じゃあ、近いじゃん。」
「そうなんだ~!」
地元トークをしているうちにあっという間に駅についた。
「なんか肌寒くない??」
もう辺りは暗く、少し冷えてきた。
「これ着なよ」
黒木くんはガサガサとバッグからパーカーを取り出した。
「え、いいの??黒木くん寒くない?」
「俺は平気。男だし。女子は冷やしたらダメだろ?」
そう言うと私にパーカーを差し出した。
「……ありがとう…」
なんだか恥ずかしい。
お言葉に甘えてパーカーを羽織った。
あったかい。
私よりもずっと大きい黒木くんの服は
私にはブカブカすぎるくらいだった。