依存

この世界では『依存』というものが、まるで悪かのように扱われる。


でも、私はそうは思わない。


何かに依存しなければ、生きていけない人間だっている。


逆に言えば、何かに依存することで、自ら死を選択しようとしていた人間にとって、生けていく糧にだってなりうるのだ。


「おはよう、和葉ちゃん」

綺麗なソプラノの声が私の右側から聞こえてきて、はっとする。

「どうしたの?ボーッとして…」

少し不安げな表情で私の制服の裾を掴む彼女は文句なしに可愛い。

「ん、別に何もないよ。ただ、一時限目から数
学ってしんどいなって」

安心させるように、微笑みながら言った。


慎重に選んだ私の言葉が正解か自信が持てず、彼女の顔色を伺う。

「そうだね‼︎私も数学嫌だなぁ」

満面の笑みを浮かべる彼女を見て、ホッとする

よかった。私の選択は間違ってなかった。


「和葉ちゃん、私、今日が提出期限のプリント
出してくるね!」

「うん、いってらっしゃい」

小さく手を振り見送る。ってまぁ、隣のクラスまでだから”見送る”なんて、大袈裟なのだけど。

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