題名未定


電車の中に差し込む夕陽を見ながら、俺は友達たちと会話をしている。

学校の帰り、電車の中で友達たちと会話しながら考えることは大体毎日同じ。

今日も同じように、家に帰ってから何をしようかとか、どうでもいいことを考えていた。

考えたって、どうせ家に着いたころには忘れていて、いつもと同じ一日を過ごす。

そんなありきたりな毎日に不満はなかったし、むしろ満足していた。

次は-駅....次は-駅....

電車の中に流れるその声を聞いて、俺は鞄を持ち、立ち上がる。

「じゃあな、また明日」

俺が隣に座っていた慶たちに声をかけると、慶は笑顔で手を振った。

慶は音楽を聴いていたから、たぶん俺が「さよなら」とか言ったと思って手を振っているのだと思う。


< 2 / 11 >

この作品をシェア

pagetop