一つ下のアイツ

朝8時の合田高校の校庭には、女子卓球部の部員が全員揃っていた。
いや、１人足りなかった。

元よりこの部活にはメンバーが３人しかいない

現状この場でストレッチを行い、朝の走り込みに備えているのは、
２年須屋 朝香(スヤ アサカ)
１年広井 珠(ヒロイ タマ)
そして担当教師の佐々柄 愛(ササエ アイ)
のみであった。

｢あの、須屋センパイ。須木センパイって……｣

１年の広井がおそるおそる2人に問う。短く切ったボーイッシュな髪と黒縁メガネ。ぱっと見ると大人しい男の子の様だ。

｢あー？いつもの遅刻だよ。
さっきメール来た。どーせまた遅くまでクソアニメ見てたんでしょ。｣

呆れながら須屋が答えた
腰くらいまである長く細い髪は、ピチリと頭上で纏められている
髪の毛1本も残さない彼女のポニーテールは、几帳面な彼女の性格を表していた。