一つ下のアイツ
「遅れましたぁ!!!
あ、でも、セーフですよね!…ほら、もう…運動着ですし!?」

息を切らせ、肩につく髪の毛がボサボサの須木 虹が3人の前に現れた。
須木 虹はここ、合田高校の卓球部副部長である。3人の部活で副部長といっても形だけのようなものだ

彼女に副部長である自覚は、ない。


「須木さん!?
あなたほんとに何度言えば分かるのよぉ~
…あのねぇ?学校に来る時は制服で来ないとイケナイのよ。そして女の子なんだから髪の毛くらいといてこないとブー!!!よ、ブー!」

教師の佐々柄 愛が、両手の人差し指を重ね合わせて、虹の額でバツマークを作った

佐々柄は男性である

……いや、見た目は男性である。
心は誰よりも乙女であり、本名である宏を改名してラブリーな名前にしている。この方が生徒も親しみやすいというのが彼……彼女の言い分だ。


「ち、違うんです!
交差点の信号が、いつものタイミングで青にならなかったのがイケナくて!!」

「今日は信号が遅刻の理由な訳ぇ?
ダーメダーメ認めなーい。須木さんはプラス1周よ?」

「え、ちょ…
それを言うなら遅刻くらいじゃプラス1周する理由にならないですよ!」


須木と佐々柄の言い合いは、卓球部の日常である。
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