一つ下のアイツ
走り込みを終え、3人は更衣室にいた。


「あの、須木センパイ。須木センパイがいつも見てるアニメって何でしたっけ…」

「虹が見てるやつ?あー、あのクソアニメ」

聞き捨てならないセリフを須屋が言い終わるか、終わらないかのところですかさず須木 虹が訂正する

「はぁぁい違いまぁぁす!!!
奏学園☆メロディープリンスの奇跡☆でーす!
略してメロプリな!」

「私はそれがクソって言ってるの。何でもかんでもプリンスって言えば王子様になると思っちゃって…
そんな人いる訳ないじゃないのよ」

「いるんだなぁ…いるんだなぁ…これが」

佐々柄 愛が虹にしたように、両手の人差し指を交差させて、須屋 朝香の前に突きつける
佐々柄のクセが移ってしまい、すっかり虹のクセになっている


「じゃん!
私の王子様、三治 弦くんでーーーす!」


弦のドアップがデザインされたパスケースを見て、須屋朝香は呆れる。

「あー…たまちゃん、こんなやつの話真面目に聞いてたらこっちが馬鹿になるからね」


広井珠は場が悪そうに、後ろ手をもじもじさせる
「あの、実は…須木センパイがメロプリ好きだった気がして…地元で見つけたメロプリのガチャ回して来たんです…」

おずおず差し出された手には三治弦のラバーストラップが握られていた。


「ぁ、ぁぁ………ッ!!!
ちよ、嘘でしょ!?マジ!?メッッッチャ欲しかったの!!!!!!ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!たまちゃんほんとに大好き!!!」

朝から更衣室に響き渡る須木虹の声は、二階から3階の2年生の教室まで届いていたと言う…
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