Be Girl-翼のゆくえ-
私は声も涙も出ない。

ただ目の前にいるハルカを本人だと信じることができないほどだった。

本当に呼吸をしているだけで、魂が抜かれているような感じ。

キリッとした目つきと自己主張の強かったハルカとは、似ても似つかない完全な別人だった。

「…ごめん。帰るね」

私はハルカとセイヤにそう告げて、呆然としたまま部屋を出た。

セイヤはそんな私に、

「時々こうやって来て、話をしてやってくれないかな」

と言ったが、私はその場を去った。


その帰り道。

私は何を思って、何を考えていたのだろう。

それどころか、どういう道を通って、どうやって自分の部屋に戻ったのかも覚えていなかった。

気がつけば朝を迎えていて、何でもない一日に戻っていた。

変わっていたのは日付と曜日だけだった。
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