Be Girl-翼のゆくえ-
起きる気配の無いリンを起こしてはいけないと思い、彼女をもう一度背負って電車を降りた。
階段を上り地上に出ると、空は薄っすらと明るくなり始めている。

ほんの数時間前。
1人で見上げた時には二度と見られないような気がした光景。
それが今、眼前に広がっている!

私と同じくらいの大きさのリンを背負うのは辛かったけれど、不思議と体が軽く感じられる。
この薄明かりの空を飛びたいと思えば飛べるくらいに。


こんな時間に帰ることがマズイのはわかっていた。
父は必要以上に学校の事を聞きたがる人だし、母は少しでも帰りが遅いと何度も電話をかけてくる。

昨晩の母からの着信とメールは、家の中がどのような状況なのかを教えてくれていた。


近頃、そういった両親が大嫌いになっている。
あの人たちが何もできない事はわかっているから。

期待なんてしているわけではないけど、それならば余計に放っておいて欲しい。
カゴの中で自由を奪われるような毎日は、もううんざりだった。

裏口のカギをこっそり開ける。
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