▼ Chocolate kiss .。



その姿を、ずっと手伝いもせずに眺めていた。

他人に借りを作るなんて嫌だけど、身体がフリーズしたみたいに動かない。



「 …何で紵恋はあの人が好きなの?」



不意に、玲斗が動作を止めてそんな事を聞いて来た。



「 恋がしたかった…うち、ずっと恋がしたかった。」



中学時代、勉強も部活も全て投げ出したくなって、いつの間にか常識なんて忘れていた。

好きな人なんて居なかったし、仮に居たとしてもきっと恐れられるんだろうなって。

恋愛なんて興味すら無かった…なんて、本当は普通の女の子らしい青春を夢見てたのかもしれない。

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