▼ Chocolate kiss .。
STORY 3
ーーそして迎えた当日、2/14。
「 …あ、チヨ。ちょっと止まって!」
首を傾げていると、髪に冷たいものが触れた。
触れてみると、ヒンヤリとした金具でピンだと言う事が分かる。
「 ハートのピン、実はこの前道具買いに行った時にこっそり用意したの!おまじないみたいなモンだと思って!」
「 …あ、ありがとう!」
「 じゃ、あたしは終わるまで友達の家に居候させて貰うから連絡してね!」
口に両手を当て、一言頑張れ!と唇を動かすと手をひらひらと降って行ってしまった。
私はそのシルエットが住宅街の道の地平線に消えるまで見つめていた。