平凡×優男=X

私を柔らかい温もりが包み込む。


「これでも照れてないって言える?」

「ちょ、ここバスだよ?落ち着けよ」


動揺であまり声が大きくならないように気を付けながら、あいつに言う。
だって、なんか絶対におかしいもん!


「落ち着かないといけないのはお前だろ。めっちゃ鼓動早くなってるけど。」

「なっ、慣れてないからだ。別にお前だからとかそういうのでは断じてない。」

「ふうん。じゃあ誰にされてもこんなに顔赤くしてどきどきしちゃうんだ。」

「その辺にしないと怒るよ」

「勝手に怒っとけば?」


なっ...


「ちょおい」


反論しようとしたら、塞がれた。
意識が一瞬遠のく。
なんだよこれ...


「黙ってろ。」

「いやこんなっ」


まただ。
3度目の接吻の後私はもう強がる気が起きなくなっていた。


「なんで」

「お前のこと好きになっちゃったから」

「なんで」

「なんでって...ちょっと好きになりかけてる人に傷の手当してもらったらすきになっちゃうだろ。仲いいったって俺だって男なんだし...
それに、俺がちょっといい感じのこと言うと見てすぐ赤くなるし。
気遣いも出来るしな。あとは、可愛い。」

「可愛いってお前...」

「本当は手当てとかよりずっと前から好きで、何回も言おうとしてたんだけどそのたびに何かに邪魔されてたから。」

「あ、咲って呼んでいい?あと、葉月じゃなくて奏人って言って。」


マイペースか。
話している内に少し冷静さを取り戻してきた。
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