イケメン女子になりたいッ!
「えー?野々市ちゃんずるーい!」
「透音くんとデートの約束?」
「いーなー!いーなー!」
「もしかして、今朝の変わった告白OKしちゃったのー?!」
「うっそ、だとしたらショックなんだけど!」
ファンクラブの女の子たちが騒ぎ出す。
えっ、あれ告白だと思われてたの?
全然違うのに……
「……いや、違うよ。今朝のは関係ない。この前財布拾ってくれたからさ、そのお礼しようと思って」
「あー、やっぱそんな感じー?」
「だよね!野々市ちゃんだし!」
「良かった良かった〜」
興味が失せた女子は、次々と波のように去っていく。
おおっ、さすが師匠!
流れるような嘘でこの場を収めるとは……
やっぱカッコイイな!私もこうなりたい!
キラキラの視線をぶつけまくる私を尻目に、用が済んだ成海くんは自分のクラスに戻って行った。