こいつ、俺の嫁。
4話「俺には、こいつだけ」
7月。季節は夏に足を踏み入れた。
「……んふふふふ…」
登校中、テツは歩きながら雑誌を読んで一人静かに笑ってる。
ちなみにテツが読んでる雑誌は月一で発売してる地元の情報雑誌"komura(コムラ)"。
あたし達の地元のことだけじゃなくて、近隣の県の情報も載ってたりする、地元雑誌のような地元雑誌じゃない雑誌。
…てかテツの顔……うわ……気持ち悪っ……
ドン引きした目でテツを見つめる。
そんなあたしの視線に気づいたテツが雑誌から顔を上げて、ニタリ顔をそのままにしてあたしを見る。
「なになに?なんでそんなに笑ってるかって?」
「いや、聞いてないしそんなこと」
「これを見ろ!」
「無視かよ」
テツに無視されて見せつけられたのは、雑誌の一面に載せられたイケメンバレー男子の特集ページ。
そこには高校生のイケメンバレー男子の代表として、"白羽根の貴公子"と書かれた白髪に近い金髪をした男子高校生と、"黒鉄の王様"と書かれたテツの紹介が書かれていた。
あたしはテツから雑誌を取って、その記事を読み上げる。