こいつ、俺の嫁。
どうして、と聞く前にテツに手を握られる。
「ほら、お参りしに行くぞ」
「え、ちょ、………っ」
もしかしてあたしを待っててくれたの?
そう勝手に解釈してもいいの?
テツのさりげない優しさが嬉しくて、テツの背中を見ては一人笑ってしまった。
テツと並んで賽銭箱に小銭を投げ入れる。
二拍手をして手を合わせたまま目を閉じる。
去年のお願いは何だったっけ。
あ、そうだ。
ちょうど受験生だったから、"テツと同じ高校に行けますように"って願ったんだ。
今年は……
"ずっとテツの隣にいられますように"って願おう。
隣にいるテツを見上げると、テツはまだ目を閉じて何かを願っていた。
しばらくするとお願いが終わったのかテツはゆっくりと目を開けて、あたしの視線に気付いて、あたしの方へと体を向ける。