こいつ、俺の嫁。
8話「俺だけ見てろよ」
ピピッ、ピピッ、ピピッ……
今日は控えめなアラームもよく聞こえた。
「…ん、…」
起き上がって半開きの目で窓の外を見れば、雲一つない快晴。
今日は新学期にふさわしい天気。
春休みはテツの補習の手伝いに、部活の手伝いにと春休みはほぼテツに捧げてしまったけどテツといられたから何だかんだ楽しくて。
そして4月。
高校生になって二度目の、そしてテツの彼女になって二度目の春がやってきた。
昨日入学式があり、今日は新入生も交えた始業式がある。
テツは朝練と新入生の部活勧誘の準備があるため、先に登校している。
「…あ、桜…」
学校の近くの桜の木は少しずつ花を咲かせていて、もう少しで満開になりそう。
「澪ー!」
そんな桜を足を止めて眺めていると、あたしを呼ぶ声が聞こえた。
振り返ると未来が手を振ってこっちに走ってきた。
「未来おはよ。高校生活残り2年、よろしくね」
「おはよ。
もうここまで一緒だと親友よりかは、腐れ縁だよね」
「ちょっ、それひどくない!?」
2年生になったらクラス替えがあり、あたしはまた未来と一緒になった。
未来とは中学の時も3年間クラスが一緒だった。
確かにここまで来ると腐れ縁だって言いたくなるけどさ、あえて言わなくたっていいのに。